秋草さんはこのごろ、ラジオっていいものだ、と感じ始めています。
ラジオは音声だけで構成されています。
例えば、テレビだと、
「こんな気の毒な人がいますよ」
という内容のときには、たいてい、その気の毒な人自身が画面に現れて
顔が写って、何かしゃべったり泣いていたり、周りの人やスタジオの芸能人までも出てきて、それについてまた何か言ったりします。
そういう伝え方に、なにかちょっと食傷ぎみになってきました。
ラジオはそういう話題の場合、その気の毒な人自身は直接には登場せず、アナウンサーが状況を説明するというやり方が普通です。だから、聞いている人は、生々しさや、テレビ番組制作者の意図の押しつけから開放されて、自分で想像することができます。
秋草さんにとっては、そのほうが、そういう情報を受け取りやすいのです。何か手を動かしながら聞くのがちょうどいい感じです。
ラジオからはなにげなく、知っている歌、知らないけど気持ちにしみる歌が、たまに流れてきます。自分で改めてCDをかける、というほどでなく、聞こえてくる短い音楽が日々の時間時間を彩ってくれます。
家を空けてばかりいるときには望めないことで、ラジオの良さに気づく生活に変えてよかったと思います。