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空いた時間に自然と始めることがほんとうに自分の好きなことなのかもしれない

台風できょうの予定が中止になりました。
さて、おうちにいられることになりました。
思ってもみなかった「おうち時間」。

机に向かってふと手がのびたのが
「歳時記」→「久保田万太郎句集」
くらしの中にいる人の一瞬をしみじみと写した俳句の数々。
いつも静かな感動をもたらしてくれる久保田万太郎の俳句です。

やっぱり今の季節のものをまず繰ってみる。

秋の雲みづひきぐさにとほきかな

番町の銀杏の残暑わすれめや(昭和14年9月7日、泉鏡花先生逝去)

きのふより根津のまつりの残暑かな

はつ雁の音にさきだちていたれる訃(昭和29年9月5日、中村吉右衛門、逝く)

秋風や水に落ちたる空のいろ

などなど、
それからそれへ読んでいくと、
いま自分がこうして生きているように
句の中にいるその頃の人たちの息遣いが感じられます。
その人たちがどんな家に住み
どんな服を着て
どんなことを思いながら暮らしていたのか
なんとなく思いを馳せます。

その思いを馳せるひとときが
わたしにとって
心が和むような時間になります。
それはむかしもいまも
人は小さなことで悩みながら生きていたんじゃないか
というあきらめでもあるし。
むかしの家並みや着物を想像する楽しみでもあるし。

だから人の息吹きが感じられる久保田万太郎の俳句がすきなんです。

塀について塀をまがれば秋の風

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