図書館に行って本を読むことを知らないままだったら
春菜ちゃんはどうなっていったのかな?
本の世界に夢中になって、
本の中の人たちの行動や考え方を知ることによって
自分の心が形作られ、
自信をもって進んでいけるようになった女の子、5年生。
佐久間さんという、平衡感覚を持った友だちが出てくる。
自分がいじめのターゲットになりそうだ、と気づいて
いっしょにいると巻き添えになるからって
春菜といっしょにいないようにする、って、
りっぱ。
将来先生になりたいから、この経験も役に立つ、って、
なるほどしっかりした5年生くらいなら、
そういう考え方をできるかもしれない。
佐久間さんも、春菜と同じように、
家庭的には恵まれていないことがにおわされる。
図書館の雑誌をだまって持って行っちゃったけど
やっぱり返しに来た、
さびしいとき猫をなでていた、竜司くんという子も描かれる。
『あしながおじさん』を100回読み返したい、っていう
春菜ちゃんをはじめ、決していいことばかりではない境遇の子たちに
がんばって生きてほしい、と思う。
子どもの目から見た物語としては、そういう感想を持ついっぽう、
大人の立場で読むと、
春菜ちゃんのお母さんもひとり親で育っていた、っていう辺りに
なんだかな~、という感想も持たざるを得ないノデアル。