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本の中の本 読書の幅がこうして広がっていく?

神保町古本まつりで買った
山川静夫『名手名言』。

そこに、山川さんの書棚で不滅の光を放ちつづける本の一冊は
岸田劉生『歌舞伎美論』だと書いてあった。

この書名、確かにうちの本棚にもあったな。

2000年から2005年の頃、伝統芸能系の古本はけっこう買ったと
この間書きましたが、その頃に購入したものです。

探すともなく気にかけていたら
古本を入れているケースの中に、やっぱりありました。
山川さんが書いているように昭和23年が初版で
うちにあるのは昭和26年発行の第3版。

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悲劇喜劇選書Ⅳとして出版されたときの帯と
しおりとして挟まれたらしいフィルムもともに。

岸田劉生が画家の視点で
歌舞伎の美しさを書いている本。

著者が歌舞伎の舞台面を描いた絵がカラーで入っていて
劉生が、歌舞伎は蜜豆の黒蜜のようだと言っていたという気持ちが
分かる気がします。
なるほどこれが黒蜜の味か、と。

歌舞伎を好む点では人後に落ちないつもりと言っている。
この「美の王国」が日本から失われてしまう時代が来るとしたら
人類の損だと言っている。

芝居見物の絵日記もつけていて
本の中に絵とともに入っている。
岸田劉生の絵日記なんて、貴重ですよね。

しかも、一芝居好きとして書いている
「きょうは帝劇見に行く日なのにあいにく雨・・・」
などという親しみやすい内容。

同時代人に認められず、
死んでから価値を見いだされた人だったと
山川さんの本にある。
岸田劉生が歌舞伎の美をどのように見ていたのか
難しいことではなく
歌舞伎好き市民として読み返してみなくちゃ。

ちなみに、河竹登志夫さん著のこちらの本とは別の本です。
こちらも良い本だと思われますが。

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