エッセイでも小説でも、読んで面白いのは結局細かなところだ。
人生の面白いところも些細な部分なのかも、と思う。
宮沢賢治のどの作品だったか、虔十公園林だったかな?「虫喰い豆を拾っていた」というような表現が分かりにくいからと「悪い豆を拾っていた」のように変えてしまおうという話が、どこかの出版社で出たそうだ。そのときたしか、丸谷才一氏が、おかしいと言っていた。
虫喰い豆を拾うという作業、その肌感覚を無視した表現に変えたら、虔十の生活、息遣いは伝わらない。
大事なのは些細なこと、毎日の暮らし、ってこと。
NHK『あの人に会いたい』で、きんさんぎんさんが言っていた、「朝、働きに出て、夕方帰ってくる。それだけだ。」というような言葉は、そういうことを表しているんじゃないかな。
いろいろ、いろいろあるけど、良いことも悪いこともあるけど、結局、
いろいろある、っていうこと。
その一つ一つが、生きるってことなんだ。
おすすめのお話。
小川未明「金魚うり」、
人生ってこうしたもの、小さななにげない感情やできごとでできているんだ、、
っていう感慨のわくお話です。
石井桃子さんも「日常茶飯事こそ人生のうちの大事と思っている人間だものですから」
というようなことを述べていらっしゃいました。
(『石井桃子のことば』とんぼの本)