歌舞伎を見に行きました。
知人が、行かれなくなっちゃったからと譲ってくれたチケットで。
日生劇場の七世松本幸四郎襲名百年記念公演。
茨木
海老蔵の渡辺綱は出てきたときからデカイ。
でも、上半身がデカすぎて、足が短く見えたけど、衣装の関係?
ピッタリの役どころだと思うけど、せりふはもうひとつ聞きにくい。
まだ変化していく途中なのでしょう。
松緑の真柴はさすがに若すぎてちょっと気の毒な感じ。
前に『十二夜』のとき、おどけ役がまわってきたときも、
ちょっとニンでなく気の毒な感じがしたのを思い出しました。
それでも懸命に勤めていたような印象でしたけど。
真柴は、腰を折り曲げているのがちょっと無理してる感じ。
花道の最初の一声が、
どうもこの「無理してる」感じを際だたせちゃってるんですね。
真柴が言ってるんじゃなくて、
まだ30代の尾上松緑が懸命に声を抑えて、
それでもまぎれもなく松緑その人としてせりふを言ってる、
とでも言うんでしょうか。
でも、そんなものだと思う。
ひいおじいさんの幸四郎だって、
名優と言われる前は、きっとこんなだった時があったんだ。
せりふ覚えが悪かったっていう言い伝えもあるくらいだからなおのこと。
真柴の役を3人のうちだれがやるか、
っていうのはどうやって決めたのかな〜 なんて考えた。
海老蔵はまず除外されるとしても
染五郎だって可能性はあったんじゃないか? とか。
茨木童子になってからはむしろやりやすそうに見えた。
幕が閉まるときの海老蔵の綱の顔は相変わらずモノスゴかった。
エネルギー余りすぎ! って感じ。
松緑の真柴は、たぶん教わった通りに
まじめに一つひとつこなしたんじゃないだろうか。
おじいさんの松緑はむしろ綱をやる人だったから、
綱のほうがやりたかったのかな。
チラシの写真を見ても、お化粧がもうひとつきまってない感じ。
でも、どうしたら決まるの?
というと、年齢からしてこれしかないか?
この幕ではあと、梅丸くんの音若の踊りはきれいだった。
この音若はいい役ですね。
踊りを披露する場があるんですから。
少年らしさの出るすがすがしい踊りで、
このお芝居が出ると一つの大きな楽しみになってます。
それと、間狂言の士卒がよかった。
とくに高麗蔵の身のこなしが
踊りが体に入っている感じが心地よかった。
体の大きさも踊りにちょうどいいんでしょうか。
形がきれいで、腰が決まっていて、滑らかで、
あの間狂言をもう一度見たい、と思いました。